古代、敦賀は日本の入り口だった――時間や空間のスケールを動かすと、土地や街のまだ見ぬ姿が立ち上がってきます。
日本海をあいだに大陸に真向い、琵琶湖の水運へと繋がる福井県敦賀市は、古くから人・物・文化が行き交う交通の要衝として発展してきました。北陸道総鎮守・氣比神宮や日本三大松原・気比の松原、そして豊かな海の幸などと、この土地ならではの魅力が点在しています。そうした一つひとつの魅力をつなぎたい――敦賀市からそんなお題をいただきました。
地元の方々のお話からしか浮かび上がらない「敦賀」の横顔をあつめ、「点」として存在している歴史・風景・文化を結び、新たな文脈を生み出す。一見すると異なるもの同士を「似ている」よりも「響き合う」という感覚で結び直していく。関係性から風景を読み直す「述語的な編集」が、百間の方法です。

2025年夏からはじまったプロジェクトは、リーフレット『CROSSOVER 敦賀』にまとまっています。文化庁の「文化資源活用事業費補助金(全国各地の魅力的な文化財活用推進事業)」を受けて、敦賀市と株式会社百間が協働で「敦賀ものがたり創出事業」の一環で制作しました。『CROSSOVER 敦賀』は、4つの道から敦賀を読み解くナラティブ・ブックです。
氣比の道
氣比神宮は、古来より北陸道総鎮守と称されてきた越前国一宮です。主祭神のイザサワケノミコトは、食の神。海の道と陸の道が重なり合うこの地で、海幸、山幸や諸国の産物、そして行き交う人々を見守ってきました。氣比神宮は、神仏習合のはじまりの地の一つで、在来の神と外来の仏が出会い、どちらかを排除することなく、ともに祀ることで受け入れました。
渡来の道
古代より国際交流の門戸だった敦賀津。かつて、都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)という名の王子が海を渡ってやってきました。その「ツヌガ」が「角鹿」となり、現在の「敦賀」の地名を生みました。数多の人々が行き交う海はイノリの海でもありました。敦賀半島には、西方ヶ岳をはじめ原初の祈りの舞台となった自然の光景が広がります。
歌枕の道
景色は歌に詠まれ、その歌の風景は歌枕になりました。俳人・松尾芭蕉は、日本の歌枕をめぐる『おくのほそ道』の旅で、気比の松原での中秋の名月を愉しむため、敦賀を訪れました。あいにくの雨でしたが、見えない月の姿を歌に詠んでいます。歌枕の地となった気比の松原は、敦賀の八つの名勝に狂歌や著名な古歌を添えた名所図「敦賀風景八ツ乃詠」に、「白鷺松晴嵐」と題して描かれました。歌枕は名所となり、時代を問わず人々の憧れの地であり続けています。
うまみの道
日本の食文化を世界に広げた第五の味覚「うまみ」。その代表格は昆布です。昆布商・奥井海生堂では、伝統的な手法「蔵囲」を現代に伝えています。ヴィンテージワインのように蔵で保管し、熟成することで「うまみ」をさらに引き出します。北前船によって北海道から運び込まれた昆布をうすく漉いて加工した「おぼろ昆布」には、うまみが凝縮されています。敦賀で加工、発酵、熟成することで、日本を支える「うまみ」が誕生しました。
混交するスペシャリストたち
リーフレットには、人類学者の中沢新一氏、日本思想史研究者の伊藤聡氏、文芸評論家の安藤礼二氏、写真家・日本文化研究者のエバレット・ブラウン氏、地域に根ざし、豊かな知の蓄積をもつ気比史学会の糀谷好晃氏など、専門領域を超えたスペシャリストたちが、「ふかく、おもしろく、へんな日本」を掘り起こす独創的なアプローチで言葉を紡ぎ、敦賀を読み解くための糸口が散りばめられています。
リーフレットを手に
本リーフレットを手にした現代の旅行者は、単なる史跡巡りではなく、道の文脈を読み解くことで、今なお続く「ものがたり」にふれることができます。
ダイヤモンドプリンセス号の寄港時をはじめ敦賀を訪れた方々が、4つの道を辿って、日本の文化を深く体験されています。
【リーフレット概要】
『CROSSOVER敦賀』
日本語版、英語版
B5判縦左開き、全24頁、中綴じ、カラー
発行者(発行所)|敦賀市
助成|文化庁
企画・編集|株式会社百間
日本海をあいだに大陸に真向い、琵琶湖の水運へと繋がる福井県敦賀市は、古くから人・物・文化が行き交う交通の要衝として発展してきました。北陸道総鎮守・氣比神宮や日本三大松原・気比の松原、そして豊かな海の幸などと、この土地ならではの魅力が点在しています。そうした一つひとつの魅力をつなぎたい――敦賀市からそんなお題をいただきました。
地元の方々のお話からしか浮かび上がらない「敦賀」の横顔をあつめ、「点」として存在している歴史・風景・文化を結び、新たな文脈を生み出す。一見すると異なるもの同士を「似ている」よりも「響き合う」という感覚で結び直していく。関係性から風景を読み直す「述語的な編集」が、百間の方法です。

2025年夏からはじまったプロジェクトは、リーフレット『CROSSOVER 敦賀』にまとまっています。文化庁の「文化資源活用事業費補助金(全国各地の魅力的な文化財活用推進事業)」を受けて、敦賀市と株式会社百間が協働で「敦賀ものがたり創出事業」の一環で制作しました。『CROSSOVER 敦賀』は、4つの道から敦賀を読み解くナラティブ・ブックです。
氣比の道
氣比神宮は、古来より北陸道総鎮守と称されてきた越前国一宮です。主祭神のイザサワケノミコトは、食の神。海の道と陸の道が重なり合うこの地で、海幸、山幸や諸国の産物、そして行き交う人々を見守ってきました。氣比神宮は、神仏習合のはじまりの地の一つで、在来の神と外来の仏が出会い、どちらかを排除することなく、ともに祀ることで受け入れました。渡来の道
古代より国際交流の門戸だった敦賀津。かつて、都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)という名の王子が海を渡ってやってきました。その「ツヌガ」が「角鹿」となり、現在の「敦賀」の地名を生みました。数多の人々が行き交う海はイノリの海でもありました。敦賀半島には、西方ヶ岳をはじめ原初の祈りの舞台となった自然の光景が広がります。歌枕の道
景色は歌に詠まれ、その歌の風景は歌枕になりました。俳人・松尾芭蕉は、日本の歌枕をめぐる『おくのほそ道』の旅で、気比の松原での中秋の名月を愉しむため、敦賀を訪れました。あいにくの雨でしたが、見えない月の姿を歌に詠んでいます。歌枕の地となった気比の松原は、敦賀の八つの名勝に狂歌や著名な古歌を添えた名所図「敦賀風景八ツ乃詠」に、「白鷺松晴嵐」と題して描かれました。歌枕は名所となり、時代を問わず人々の憧れの地であり続けています。うまみの道
日本の食文化を世界に広げた第五の味覚「うまみ」。その代表格は昆布です。昆布商・奥井海生堂では、伝統的な手法「蔵囲」を現代に伝えています。ヴィンテージワインのように蔵で保管し、熟成することで「うまみ」をさらに引き出します。北前船によって北海道から運び込まれた昆布をうすく漉いて加工した「おぼろ昆布」には、うまみが凝縮されています。敦賀で加工、発酵、熟成することで、日本を支える「うまみ」が誕生しました。混交するスペシャリストたち
リーフレットには、人類学者の中沢新一氏、日本思想史研究者の伊藤聡氏、文芸評論家の安藤礼二氏、写真家・日本文化研究者のエバレット・ブラウン氏、地域に根ざし、豊かな知の蓄積をもつ気比史学会の糀谷好晃氏など、専門領域を超えたスペシャリストたちが、「ふかく、おもしろく、へんな日本」を掘り起こす独創的なアプローチで言葉を紡ぎ、敦賀を読み解くための糸口が散りばめられています。
リーフレットを手に
本リーフレットを手にした現代の旅行者は、単なる史跡巡りではなく、道の文脈を読み解くことで、今なお続く「ものがたり」にふれることができます。 ダイヤモンドプリンセス号の寄港時をはじめ敦賀を訪れた方々が、4つの道を辿って、日本の文化を深く体験されています。
【リーフレット概要】
『CROSSOVER敦賀』
日本語版、英語版
B5判縦左開き、全24頁、中綴じ、カラー
発行者(発行所)|敦賀市
助成|文化庁
企画・編集|株式会社百間